こんにちは、藪内です。
僕は2018年の4月からブダペストに住み始めたんですけれど、2019年の夏から試験的に、Airbnb(以下「エアビ」)をホスト側で始めてみました。2020年に入ってから一旦ストップすることにしたんですが、ホストとして活動するときの注意点、実際にゲストを受け入れて体験したトラブル、エアビホストは儲かるのか?といった点について、ここでまとめておきたいと思います。
ちなみに僕は、「ルームシェア」というスタイルで、僕が普段使っている部屋を、僕がいる間にシェアする、という方式で貸し出しをして、半年の間に9人のゲストを泊めました。利用の多かった夏場以外はほぼ宿泊のリクエストすら来なかったのですが、そういう内容も合わせて、以下に詳しくまとめておきたいと思います。
エアビを「ルームシェア」で始めた理由
まずは、なぜエアビをルームシェアで始めたのか、ということについて。
エアビをゲストとして使ったことがある方であれば、宿泊の種類は
・一軒丸ごと貸し出し
・個室貸し出し
・ルームシェア
という3種類が存在することを、ご存じかと思います。そして、宿泊する側からすると、最初の2つで絞り込みをすることがほとんどで、なかなか「ルームシェア」ってしないと思うんですよね。
実際、僕の知り合いの海外在住日本人にも、「借りているアパートを、休暇で離れる間だけ又貸しする」というスタイルで、ほっといても出て行く家賃を少しでも賄おうとしている人は何人かいますし、僕もそういう人達から「こういう風に貸し出せば、自分がいないときの家賃を払ってもらえるから美味しいよ」とアドバイスをされたことはあるんですよね。
ただ、僕としては「自分の知らない人に、自分が借りている物件を更に貸す」ということがとてもリスキーに思えて、結局このスタイルを踏襲しないことにしました。
というのも、いくらエアビで、レビューが見られる状態とは言え、他人の目にかからない場所で、人間なんて何をするか分からないですし、そういう部分を、僕はあまり(特に、見ず知らずの他人に対しては)そもそも信用していないんですよね。
「信用していない」というとネガティブな響きがありますけど、要は「変に期待をして痛い目に遭うよりも、”何が起こるか分からない”くらいに用心しておいたほうが身のため」と思っているんですよね。
僕は、ユーロやフォリント(ハンガリーの独自通貨)もキャッシュである程度持っていて、それは部屋の中の、棚の一角に置いているんです(蓋は閉じるけど、ロックはかからない状態)。
普段は一人暮らしなので大丈夫なんですが、貸し出しをすることで、そういうキャッシュを万が一盗まれたら嫌ですし、貸す間だけそれをカバンに入れて運ぶのも、逆に怖いですし。それを考えると、自分の目の届かないところで何かされるのも嫌ですし、不用意にリスクは取りたくないな、と。
また、いくら相手が善人だとしても、例えば備品を壊してしまう、とかってことも、なきにしもあらずじゃないですか。そういうときに、責任の所在は誰にあるのか、とか、相手が修理代とかを全部負担してくれるのか(エアビの規約的に、可能なのか)ということも不明瞭ですし、万が一何かが起こったら手間がかかり過ぎるので、それも避けたいな、と。
(自分がいるときにシェアして何か起こったら、その場ですぐ確認できますし話し合いもできるわけですから)
これらを踏まえて、「エアビで貸し出すなら最初はルームシェアで」とは、以前から考えていたんですよね。
エアビで貸し出すために準備したこと
さて、実際にエアビに部屋を載せよう、と決めてから準備したのは、以下のものでした。
①物件(ゲストが使う範囲)の写真
エアビでは、物件の情報を詳しく載せる必要があるわけですが、そこに必要な写真をスマホで撮影しました。
これは、エアビで泊まる側でリスティング(エアビでは、物件のことをこう呼びます)を検索したことがある方であれば、どんな写真だと分かりやすいか、泊まりたくなるか、というのがある程度分かると思うのですが、僕はそのあたり、「敢えて」普通に撮影して掲載していました(バスタブに付いた、取れない汚れとかもほぼそのまま写真に入れていましたし)。
これは、1つは写真で必要以上にゲストの期待を膨らませたくなかったということと、もう1つは生活感を出しておいたほうが、料金に見合った感じが出るかなと判断したからです。
料金については後述しますが、正直言うと「エアビだけで食っていける」ような値段設定ではなかったので(ルームシェアなので、料金設定にも精神的に限度があります)、「この値段に対してこの部屋なら及第点かな」と思われるような写真を意識して、敢えて「普通」の写真を用意した、という感じでした。
②物件や周辺、チェックイン方法などについての説明
一番準備が大変だったのは、この情報説明でした。
どういう風に説明すればいいか、何を盛り込めばいいか、どんな表現を使うのか、というのは、エアビで他のリスティングを検索して、使えそうなテンプレや枠組みはそのまままるっと流用すれば大丈夫なんですが、ルームシェアということもあって、どんな風にホストとゲストが交流するのか、就寝の部屋は別なのか、キッチンは使えるのか、といった内容については、特に詳しくまとめました(キッチンは、あることはあるのですが、狭くて調理スペースがほぼなく、基本的にホストとゲストが一緒にご飯に行く、というスタイルを取りたいと思ったため)。
③掛けぶとんやタオルなどのアメニティ
僕の部屋にはソファベッドがあるので、それをベッドにして貸し出す、というのはもともと問題なかったのですが、ゲスト用の布団やタオルがないので、それらは近くのショッピングモールで揃える必要がありました。ゲスト1人が2泊したら元が取れる、くらいの値段だったので、何人かに泊まってもらわないと、エアビ単体で利益が出る、ということはありませんでした。
④値段設定
宿泊料金についてですが、エアビで設定できるのは
・宿泊料金
・清掃料金(一種のサービス料金)
の2種類で、これに加えて
・長期滞在割引
といった、ゲストに旨みのある設定も加えることができます。が、ホストが収益を考えて設定できるのは、基本料金と清掃料金の2種類だけです。
宿泊料金や清掃料金は、何度もホストを経験する中で微調整したのですが、価格帯として参考に考えたのは、「市内のゲストハウスより高くてアパートメントホテルより安い」というものでした。
まあ、考えてみたらそりゃ当然なんですが、ゲストハウスの混合部屋(ドミトリー)よりは少し高く設定して「ドミトリーにいくらか加算するだけで、快適な宿泊ができますよ」と伝わるようにして、かつ個室を貸し出すわけでもないので、個室料金よりは安くした、という感じでした。
最終的に、宿泊料金が12ユーロ、清掃料金が5ユーロ、という感じになったと思います(通貨は自由に変更できるのですが、ハンガリーの通貨よりもユーロのほうが為替レートのイメージが付きやすいと判断して、敢えてユーロにしました)。
なお、宿泊料金は銀行口座に振り込まれるのですが、僕の場合、日本の口座に振り込んでもらうことにしました(エアビの日本法人から)。ハンガリーの銀行口座を持っていないことも関係しているのですが、確定申告を日本でしているので、この売上は所得に分類できると判断したからです。
エアビホストで大変だったことやトラブル
結局、エアビの準備をしたのが7月頭くらいで、とりあえず準備ができたら公開して宿泊を受け入れ始め、需要の高い夏場(7月~9月)で8人のゲストを迎え入れて、残りは年末に1人だけ受け入れる、というスケジュールとなりました。
エアビのホストをして楽しかったことももちろんあるのですが、それは後述するとして、先に、経験したトラブルや課題についてまとめておきます。
①ホスト中はスケジュールがゲスト主体に
なんというか、実際にホストを始めるまでは「ゲストは日中、観光に出かけて夕方以降に帰ってくる」っていう固定観念があったんですけど、当然自分が旅行をするときのことを考えても、そんなことは100%なくって。
僕のエアビは、自分が普段仕事をしていることと、長期間滞在されても(ゲストが泊まる部屋は、僕の仕事部屋でもあるので)気まずいので「最長2泊3日」に設定しているんですが、別の街や国を旅行してブダペストに立ち寄る人の中には、「今日は疲れたから昼前まで部屋にいます」っていう人もいるんですよね。
僕はその横で仕事をするわけなんですけど、自分の性格上、同じ部屋にいながら話をしないのって間が悪いというか居心地が悪くて、なんか辛く感じるんです。自分がエアビで泊まるときには、共有リビングで話をして自室に戻る、ということはあるんですけど、僕のように「ゲストがいるスペースで仕事をする」という、部屋の間取り上仕方のない設定ではあるけれども、ゲストはぐっすり休めないだろうし、僕も仕事に集中できない、というのが、どうしても解決できない問題でした。
これが、朝9時くらいに家を出て、夕方5時くらいに帰ってくる、というのであれば、その間は仕事に集中できるんですが、全員がそういうわけでもないので、大変でしたね。
あとは、到着日のチェックイン時間が遅かったり、チェックアウトが朝一の飛行機に合わせて未明だったりすると、(合い鍵がないこともあって)僕が起きておかないといけない、あるいは朝早く出て行っても、荷造りの音で僕が目覚めてしまってしっかり休めない、ということもあって、良くも悪くも「ゲストにスケジュールを合わせて僕が動く」ということになってしまうな、と気づきました(もう、こんなの普通に考えれば当たり前だって思うんですけど)。
これ、別に2、3日だけだったらいけるんですが、連続して違うゲストが泊まりにくる、となると、こっちは気が休まらないですし、タオルの洗濯も間に合わないかもしれない、という課題も出てきて、結局必要以上にゲストは迎え入れられないな、とか、この収益でこれだけ自分の動きが制限されると、いくら自分がこれまで受け取ってきたものを還元しようと思っても、限界があるな、とも思いました。
②一度だけ、備品のことでクレーム対応→キャンセルに
事業をしているとクレームはつきものですが、僕は幸いにも(?)、9人泊めた中でクレームは1人だけでした。
そのクレームというのは、朝に荷物のドロップオフにその人はやってきたのですが、部屋を出てからメッセージで「きれいなシーツはあるのか?」と届きまして。
実は、シーツはクリーニングが大変なので、ゲストにはソファの生地に直接寝転がってもらうようにしていて、特にそれで問題なかったのですが、その人は潔癖症なのか、「シーツがないと泊まれない」と。
加えて、これは僕が完全悪いのですが、エアビのリスティングは、必ず「ベッド(寝るスペース)とシーツ」が提供される、という設定になっているんです(リスティング情報を詳しく入力するときに、必ず「ベッドとシーツ」を選択しないと、次に進めません)。
僕は、(友だちをたまに泊めるときも)シーツ無しでも何も言われないし、自分がエアビで泊まるときも、シーツはなくても特に問題ないと思うタイプなので、この点はすごく甘くなってしまっていました。
結局このときは、「シーツがないと泊まれない」と、ホスト側に100%非があるように言われて(実際にそうなのですが)、エアビのサポートに問い合わせて、宿泊料金を全額ゲストに返して予約をキャンセルするように手続きを進めてもらいました。まあ、金額は知れているのですが、この対応にかかったストレスと時間を考えると、ルームシェアでなくとも、エアビをホストでするのは大変だな、と痛感しました。
③ユーザーの条件によっては「自動的に予約が確定」することも
エアビは、ゲストとして登録するときにいくつかの身分証明情報を登録する必要があるのですが、どれだけの数の要件を満たしているかによって、そして(恐らく)リスティングの設定に応じて、「宿泊予約のリクエストを送る」か「自動的に予約が確定する」の二通りの予約プロセスに分かれるんです。
「リクエスト」の場合、ホストから見て「ゲストの顔写真が分からない」「レビューの数が少なすぎる」「プロフィール情報が少ない」みたいに、泊めたくないなと判断すればそのまま「宿泊を受け入れることはできません」とキャンセルをすることができるのですが、逆に言うと、上の条件などを一定以上でクリアしていれば、自動的に宿泊予約が通ってしまうんですよね。
これだと、僕宛に「●月●日~●月■日に○○さんが起こしです!」というメールが届いて、その間は家にいなければならない、ということになってしまって、自分の仕事の予定などによっては、難しい対応を迫られる、ということも起こり得ます。
エアビの設定では、予めホストの都合が悪い日をカレンダーで埋めて、その日にちは予約できないようにもできるのですが、その設定もいちいち手動で行わないといけなければならず、日にちが経ったら設定するのを忘れてしまう、ということも多くあって、あまり得策ではありませんでした(エアビは、「●ヶ月先まで予約可能」という風になっているのですが、日が進むと自動的に予約できる日も先に進むので、ブロックする日を忘れている、あるいは、旅行の日付が固まっていない間に先に宿泊予約が入ってしまう、ということが起こり得ます)。
これも、自分にとっては不自由度が増すので、今の状態でエアビのホストを続けるのは難しいな、と思った理由です。
エアビを「ルームシェア」でやって良かったこと
これはもちろん、ゲストと一緒に時間を過ごせたことですね。
最初に書いておくべきだったのですが、僕はこのルームシェアでのエアビを、「お金を払ってもらうバージョンのカウチサーフィン」と位置づけていたんですよね。
カウチサーフィンは基本的にホストと一緒の時間をいくらか過ごす、というものですし、僕もそれで、何度も泊めて頂きましたし、日本でも泊めましたし、そこで生まれて続いている関係性もあって。
ただ、カウチサーフィンは「無料」なので、変な利用者も多くて。
なので、その場をエアビに移して、「お金を払って家に泊まれます。そして、ホストもいるので、交流が好きな方に是非泊まってもらいたいです」という風に、自分のリスティングを紹介しました(もちろん、文字通りではないです)。
なので、そういう世界観を理解してくれる人も何人か泊まってくれて、そういう人達と一緒にご飯に行ったり、コミュニティに参加して盛り上がった時間を過ごせたのは良かったな、と。
その人達と、どこかで再会することがあるかどうかは分かりませんが、瞬間的であったとしても、楽しい時間を過ごせたのは良かったし、そういう一瞬のために、エアビで色々準備するであれば受け入れられるかな、とは今でも思います。
まとめ
今回はあまりノウハウチックな内容ではありませんが、半年間、ルームシェアでエアビで貸し出しをしてみて思うのは、
・それ自体で収益を上げるのは厳しい(リスクもある)
・余力で(月ごとに受け入れられるゲストの数や日数を決めて)取り組む
・あくまでゲストとホストの交流をメインで(但し、お金を払ってもらう、という意識)
取り組むのが、自分にとっては負担無くできるスタイルなのかな、と思いました。まあ、いくらこういう理想があっても、宿泊料金が安いので、「お金目当て(節約目当て)」で泊まりに来る人も一定数いるのは確かですけどね。
2020年からは一旦エアビは休止しますが、また将来的に、ここで培ったあれこれを活用して、再度何らかの形で還元してきたいな、とは思います。
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